滋賀県文学祭 受賞作品紹介!(2) 短歌編
2012年06月22日
第62回滋賀県文学祭の作品を7月1日から募集します!
参考に、どのような作品が受賞しているのか、前回の受賞作品を紹介させていただきたいと思います。
第2弾は、俳句の次に応募の多かった「短歌」をご紹介します。
<芸術文化祭賞>
●大声にガラスをたたく子「叱れよ」とシャイなゴリラの低くつぶやく
警告を無視する親子のスナックにやられた猿は糖尿を病む
大口をあけて何でも食む河馬のおなかに数多のビニール袋
選評 - 動物園での、人間の勝手な振る舞いを痛烈に批判、告発した三首。作者の憤りは、戯画的な描写によって、迫力ある作品となった。「叱れよ」とゴリラの発する声、糖尿を病む猿、河馬の腹内のビニール袋、人間の傲慢さを切り取った、シャープな三首である。 -
<特選1>
●癌告知しやれば気苦労楽なるに重荷背負いし遠き日のわれ
癌告知せずに最期を看取りたる昔の医師の苦悩を知るや
だまされぬと言いしその子もまた騙し送りたるわれ罪深き医師
選評 - 医師である作者の深い内省の作品。癌告知は現代医療においては、殆ど通例となっているが、半世紀前は医師に選択を強いられた。その苦悩は計り知れない。しかも、地域医療の現場では、親子とも患者という残酷な現状もあったという。三首目、痛烈な自責の歌。
<特選2>
●岩の凸つかむ手の先つま先をみちびき呉れる娘の登山靴
LEDのさらさらと降るひかり浴び断りの決意ゆれつつ眠る
向日葵の畑のなだり下らむと空よりたぐるプリズムの青
選評 - 二首目、今注目される、省エネ照明LEDに着想得た作品。いかにも、さらさらと降る光に、眠りつつも、ある断りの決意が揺らぐという、機微を詠んだ。娘の登山靴が主役の一首目、向日葵畑を青空を手繰りつつ下る、その光景のユニークな二首目、ともに臨場感溢れる佳品。
<特選3>
●「泥海がー」そこで途切れしわが日記、津波を知らぬ湖しずかなり
日本人がまたヒバクした原発で手を下したのも噫ニホンジン
八月の蝉の叫びを聞き分けてくる救急車ゆく霊柩車
選評 - 三・一一の大震災を詠った作品。作者自身に引きつけて詠まれた二首は、その悲憤をリアルに捉え、迫力をもつ。一首目の上句と下句の、動と静の対比は、歌に一層の悲しみを呼び込む。三首目の蝉の叫びも悲痛である。
<特選4>
●髪を染め派手目の服着て乗るバスに農婦にあらぬ私の写る
曲がりたる腰伸ばしつつ畑にくの字に曲がる胡瓜なりおり
昨夜の雨たっぷりふふむ畑土のふわりふうわり足裏に伝う
選評 - 高齢の作者の、ユーモアに満ちた作品。前向きな生き方が素晴らしい。お洒落をして出かけた折の、バスの窓に映った、農婦でない自身の得意顔。新鮮な歌となった。腰を伸ばしてやってきた畑での、くの字に曲がった胡瓜との親密な出会い。雨を含んだ柔らかい畑土を踏む喜び。佳品である。
・
・
・
特選の続きは、滋賀県文学祭作品集「滋賀文学」に掲載しています。
作品を応募していただいた方には、その年の「滋賀文学」をお届けしています。
「滋賀文学」は県内の図書館に設置されていますので、ぜひご覧ください!
滋賀県文学祭の要項、申込書のダウンロードは、
滋賀県芸術文化祭/滋賀県文化振興事業団をご覧ください!
参考に、どのような作品が受賞しているのか、前回の受賞作品を紹介させていただきたいと思います。
第2弾は、俳句の次に応募の多かった「短歌」をご紹介します。
<芸術文化祭賞>
●大声にガラスをたたく子「叱れよ」とシャイなゴリラの低くつぶやく
警告を無視する親子のスナックにやられた猿は糖尿を病む
大口をあけて何でも食む河馬のおなかに数多のビニール袋
選評 - 動物園での、人間の勝手な振る舞いを痛烈に批判、告発した三首。作者の憤りは、戯画的な描写によって、迫力ある作品となった。「叱れよ」とゴリラの発する声、糖尿を病む猿、河馬の腹内のビニール袋、人間の傲慢さを切り取った、シャープな三首である。 -
<特選1>
●癌告知しやれば気苦労楽なるに重荷背負いし遠き日のわれ
癌告知せずに最期を看取りたる昔の医師の苦悩を知るや
だまされぬと言いしその子もまた騙し送りたるわれ罪深き医師
選評 - 医師である作者の深い内省の作品。癌告知は現代医療においては、殆ど通例となっているが、半世紀前は医師に選択を強いられた。その苦悩は計り知れない。しかも、地域医療の現場では、親子とも患者という残酷な現状もあったという。三首目、痛烈な自責の歌。
<特選2>
●岩の凸つかむ手の先つま先をみちびき呉れる娘の登山靴
LEDのさらさらと降るひかり浴び断りの決意ゆれつつ眠る
向日葵の畑のなだり下らむと空よりたぐるプリズムの青
選評 - 二首目、今注目される、省エネ照明LEDに着想得た作品。いかにも、さらさらと降る光に、眠りつつも、ある断りの決意が揺らぐという、機微を詠んだ。娘の登山靴が主役の一首目、向日葵畑を青空を手繰りつつ下る、その光景のユニークな二首目、ともに臨場感溢れる佳品。
<特選3>
●「泥海がー」そこで途切れしわが日記、津波を知らぬ湖しずかなり
日本人がまたヒバクした原発で手を下したのも噫ニホンジン
八月の蝉の叫びを聞き分けてくる救急車ゆく霊柩車
選評 - 三・一一の大震災を詠った作品。作者自身に引きつけて詠まれた二首は、その悲憤をリアルに捉え、迫力をもつ。一首目の上句と下句の、動と静の対比は、歌に一層の悲しみを呼び込む。三首目の蝉の叫びも悲痛である。
<特選4>
●髪を染め派手目の服着て乗るバスに農婦にあらぬ私の写る
曲がりたる腰伸ばしつつ畑にくの字に曲がる胡瓜なりおり
昨夜の雨たっぷりふふむ畑土のふわりふうわり足裏に伝う
選評 - 高齢の作者の、ユーモアに満ちた作品。前向きな生き方が素晴らしい。お洒落をして出かけた折の、バスの窓に映った、農婦でない自身の得意顔。新鮮な歌となった。腰を伸ばしてやってきた畑での、くの字に曲がった胡瓜との親密な出会い。雨を含んだ柔らかい畑土を踏む喜び。佳品である。
・
・
・
特選の続きは、滋賀県文学祭作品集「滋賀文学」に掲載しています。
作品を応募していただいた方には、その年の「滋賀文学」をお届けしています。
「滋賀文学」は県内の図書館に設置されていますので、ぜひご覧ください!
滋賀県文学祭の要項、申込書のダウンロードは、
滋賀県芸術文化祭/滋賀県文化振興事業団をご覧ください!
第63回文学祭の締切は8月31日です
ミシガン船上クルージングご招待! 8月11日(日)締め切り!
いよいよ明日12月20日から県展秀作展です!
第51回滋賀県写真展覧会の様子と表彰式
滋賀県写真展の入賞者決定!記者発表がありました
【本日締切!】ミシガン船上クルージングステージご招待!
ミシガン船上クルージングご招待! 8月11日(日)締め切り!
いよいよ明日12月20日から県展秀作展です!
第51回滋賀県写真展覧会の様子と表彰式
滋賀県写真展の入賞者決定!記者発表がありました
【本日締切!】ミシガン船上クルージングステージご招待!
Posted by 滋賀県文化振興事業団 at 16:18│Comments(0)
│滋賀県芸術文化祭
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。