滋賀県文学祭 受賞作品紹介!(3) 川柳編

2012年06月26日

第62回滋賀県文学祭の作品を7月1日から募集します!

第62回滋賀県文学祭 作品募集!

参考に、どのような作品が受賞しているのか、前回の受賞作品を紹介させていただきたいと思います。

第三弾は川柳部門をご紹介します。

題は、「手」「シャツ」です。


<芸術文化祭賞>

●シャツの袖まくるお互い様やんか

選評 - 「お互い様やんか」のフレーズが決め手になった。
未曾有の大地震のボランティア活動のシャツなのかも知れぬ。
それもいい。だが、この句から匂ってくるのは、むしろ日常のことにさりげなく袖をまくってくれる行為と厚意。
そんな普段の積み重ね。その上「やんか」には同意と挑戦があり、納得とふくらみがある。



<特選>

●淋しいようなうれしいような手を繋ぐ
(NHK大津放送局長賞も併せて受賞)

選評 - 手を繋ぐ行為を余すところなく詠いあげている。
ふたりでひとり分のことをする年代にさしかかった者にも、子供を自立させる年代の者にも、絆というものを噛みしめる時がある。
こんな風に暮らせるさやかさの中から、穏やかでいて、深い深い句が生まれたのだろう。



●いっぱい隠していっぱい零して「手」

選評 - 隠す、零すというマイナス的な言葉をならべて最後に「手」。
技巧的でいて技巧には決して走りすぎてはいない点が評価された。
この句を読むたびに思わず自分の手を握ってみたり、広げてみたりした。
そしていっぱいと、隠す、零すに納得させられました。



●こんな手でごめん今年の芋すこし

選評 - 掘り起こした芋を土のついた手ですぐにおすそ分けする作者。
なんでもないことなのに、「ごめん」にたった今の自分をさらけ出している。
この句を裏側から見てみよう。さらけだしたこころと汚れた手には、嘘や欺瞞などこれぽっちもないことが分かってうれしい。



●誰の手の中に隠れているだろう

選評 - 隠れているものは、思いかもしれぬ。物かもしれぬ。
ファンタジーにも受け取れるが、心の中のさまよいから抜け出そうと、もがいているさまも見え隠れするのである。
十七文字で表す心うちをたくさん残しておいて下さい。



●一日を私になってくれたシャツ

選評 - 忙しい一日も、のんびりした一日も、誰かの世話にはなっている。
ほっと一息つく明日の手前の時間に、今日一日を共に過ごせたシャツがある。比喩の巧みさがいい。



●汗のシャツトマト一杯持ち帰る

選評 - 何気ない表現で普段そのままを詠う。
労働の喜びは汗となって滴りはしたが、トマトを分かち、喜びを分かつ。
「さあ又ガンバロウ」という作者の、そんな声まで聞こえてくるようだ。



●この両手何ができるか考える

選評 - 両の手を見つめながらの思索。
右手ならこれとこれができる。左手ならこれができる。
両手なら・・・。思いきってためらっていたことに挑戦してみよう。
秘めた決意が形になりますように。





芸術文化祭賞と特選をご紹介しました。

受賞者などの詳細は、滋賀県文学祭作品集「滋賀文学」に掲載しています。



作品を応募していただいた方には、その年の「滋賀文学」をお届けしています。

「滋賀文学」は県内の図書館に設置されていますので、ぜひご覧ください!

滋賀県文学祭の要項、申込書のダウンロードは、

滋賀県芸術文化祭/滋賀県文化振興事業団をご覧ください!  


Posted by 滋賀県文化振興事業団 at 10:44Comments(0)滋賀県芸術文化祭

滋賀県文学祭 受賞作品紹介!(2) 短歌編

2012年06月22日

第62回滋賀県文学祭の作品を7月1日から募集します!

第62回滋賀県文学祭 作品募集!

参考に、どのような作品が受賞しているのか、前回の受賞作品を紹介させていただきたいと思います。

第2弾は、俳句の次に応募の多かった「短歌」をご紹介します。


<芸術文化祭賞>

●大声にガラスをたたく子「叱れよ」とシャイなゴリラの低くつぶやく

 警告を無視する親子のスナックにやられた猿は糖尿を病む

 大口をあけて何でも食む河馬のおなかに数多のビニール袋


選評 - 動物園での、人間の勝手な振る舞いを痛烈に批判、告発した三首。作者の憤りは、戯画的な描写によって、迫力ある作品となった。「叱れよ」とゴリラの発する声、糖尿を病む猿、河馬の腹内のビニール袋、人間の傲慢さを切り取った、シャープな三首である。 -


<特選1>

●癌告知しやれば気苦労楽なるに重荷背負いし遠き日のわれ
 
 癌告知せずに最期を看取りたる昔の医師の苦悩を知るや
 
 だまされぬと言いしその子もまた騙し送りたるわれ罪深き医師


選評 - 医師である作者の深い内省の作品。癌告知は現代医療においては、殆ど通例となっているが、半世紀前は医師に選択を強いられた。その苦悩は計り知れない。しかも、地域医療の現場では、親子とも患者という残酷な現状もあったという。三首目、痛烈な自責の歌。



<特選2>

●岩の凸つかむ手の先つま先をみちびき呉れる娘の登山靴

 LEDのさらさらと降るひかり浴び断りの決意ゆれつつ眠る
 
 向日葵の畑のなだり下らむと空よりたぐるプリズムの青


選評 - 二首目、今注目される、省エネ照明LEDに着想得た作品。いかにも、さらさらと降る光に、眠りつつも、ある断りの決意が揺らぐという、機微を詠んだ。娘の登山靴が主役の一首目、向日葵畑を青空を手繰りつつ下る、その光景のユニークな二首目、ともに臨場感溢れる佳品。


<特選3>

●「泥海がー」そこで途切れしわが日記、津波を知らぬ湖しずかなり

 日本人がまたヒバクした原発で手を下したのも噫ニホンジン

 八月の蝉の叫びを聞き分けてくる救急車ゆく霊柩車


選評 - 三・一一の大震災を詠った作品。作者自身に引きつけて詠まれた二首は、その悲憤をリアルに捉え、迫力をもつ。一首目の上句と下句の、動と静の対比は、歌に一層の悲しみを呼び込む。三首目の蝉の叫びも悲痛である。



<特選4>

●髪を染め派手目の服着て乗るバスに農婦にあらぬ私の写る

 曲がりたる腰伸ばしつつ畑にくの字に曲がる胡瓜なりおり

 昨夜の雨たっぷりふふむ畑土のふわりふうわり足裏に伝う


選評 - 高齢の作者の、ユーモアに満ちた作品。前向きな生き方が素晴らしい。お洒落をして出かけた折の、バスの窓に映った、農婦でない自身の得意顔。新鮮な歌となった。腰を伸ばしてやってきた畑での、くの字に曲がった胡瓜との親密な出会い。雨を含んだ柔らかい畑土を踏む喜び。佳品である。 






特選の続きは、滋賀県文学祭作品集「滋賀文学」に掲載しています。




作品を応募していただいた方には、その年の「滋賀文学」をお届けしています。

「滋賀文学」は県内の図書館に設置されていますので、ぜひご覧ください!

滋賀県文学祭の要項、申込書のダウンロードは、

滋賀県芸術文化祭/滋賀県文化振興事業団をご覧ください!  


Posted by 滋賀県文化振興事業団 at 16:18Comments(0)滋賀県芸術文化祭

滋賀県文学祭 受賞作品紹介! 俳句編

2012年06月20日

第62回滋賀県文学祭の作品を7月1日から募集します!

第62回滋賀県文学祭ポスター

参考に、どのような作品が受賞しているのか、前回の受賞作品を紹介させていただきたいと思います。

まずは一番応募の多かった「俳句」からご紹介します。

<芸術文化祭賞>

●ふるさとの色となるまで梅を干す

選評 - 大きな笊に重ならないように一つずつ丁寧に並べていく梅の実。夏の土用の頃の日差しによって堅かった実は柔らかく紅の色も増してくる。その昔、母の梅干しは絶妙の味と色であった事を思い、ふるさとの景色と共に母が干していた梅の色が脳裏をよぎる。母の色に近づこうと梅に目を配る作者。毎年繰り返される景のなかで、ふるさとをくっきりと浮かび上がらせる作品となった。 -

一文から、ここまで読み取ることができるのですね!奥が深いです。

<特選>

●ポケットの無き身軽さよ夏燕

●脳の襞伸びて盛夏のどまんなか

●休耕の踏ん切りはまだ水温む

●枝豆や実のある話してをらず

●節電の講座に開く初扇

●欲しかりし書を得て燈下なほ親し

●夏休み昨日と違う朝が来る

●取れたての西瓜撫でもし叩きもし

●万緑を繋ぎ合わせて橋わたる

●すぐに蚊の叩けぬ麻痺の手の重し

●ハンガーに旅の暑さを吊しけり

●寝静まる生者へ死者へ盆の月

●大根引く大地の重み感じをり

●水槽の金魚の言い分泡ひとつ





選評は、滋賀県文学祭作品集「滋賀文学」に掲載しています。



作品を応募していただいた方には、その年の「滋賀文学」をお届けしています。

「滋賀文学」は県内の図書館に設置されていますので、ぜひご覧ください!

第62回滋賀県文学祭(滋賀県芸術文化祭ページ内)/滋賀県文化振興事業団  


Posted by 滋賀県文化振興事業団 at 17:04Comments(0)滋賀県芸術文化祭

滋賀県芸術文化祭 参加事業を募集中です!!

2012年06月19日

「滋賀県芸術文化祭」は、県民の皆さんに、日ごろの文化芸術に関する創作活動の成果を発表していただき、また、優れた文化芸術に親しみ鑑賞していただくため毎年開催し、今年で42回目を迎えることとなりました!

第42回滋賀県芸術文化祭 参加事業募集中!


第42回滋賀県芸術文化祭を県民みんなのものとし、

文化芸術活動をより一層推進するため、

芸術文化祭に参加される事業を募集します。


参加承認された公演や行事は、あらゆる機会に広く県民の皆さんにお知らせします。

また、コンクール形式の催し物については、

その催しのなかで優れたものとして選ばれた作品や公演に対し、

滋賀県芸術文化祭実行委員会から芸術文化祭奨励賞を授与します。

なお、しが県民芸術創造館滋賀県立文化産業交流会館を利用される場合には、使用料が半額または全額免除されます。(営利を目的とした場合など、参加基準を満たさない場合は減免対象とはなりません。詳細は要項を参照してください。)


●開催期間:
平成24年8月25日(土)~ 平成24年12月31日(月)

●参加部門および種目:
滋賀県芸術文化祭の参加事業は、次に掲げる部門および種目とします。

(1)美術  日本画、洋画、版画、彫刻、工芸、書、写真など

(2)音楽  オーケストラ、吹奏楽、合唱、オペラなど

(3)演劇  新劇、児童劇、人形劇、ミュ-ジカルなど

(4)洋舞  バレエ、モダンダンスなど

(5)文芸  小説、随筆、詩など

(6)伝統芸能  詩吟、邦楽、能、狂言、日本舞踊など

(7)伝統文化  華道、茶道など

(8)メディア芸術  映画、アニメーションなど

(9)文化一般 (1)から(9)までのうち2部門以上にわたるものや、講演会、シンポジウムなど

●参加基準:
参加事業は次の条件をすべて満たすもので、実行委員会が承認した事業とする。

(1)滋賀県芸術文化祭の趣旨に沿うものであること。

(2)事業が一般の人に公開されるものであること。

(3)個人が自分の成果の発表を目的に開催するものでないこと。

(4)営利を主たる目的としないものであること。

(5)政治的、宗教的目的を有しないものであること。

●参加申込の方法:
芸術文化祭参加申込書に必要事項を記入の上、7月1日(日)(必着)までに、郵送、メール等で下記あて申し込んでください。

芸術文化祭の詳細、参加事業募集要項・参加申込書のダウンロードは

滋賀県芸術文化祭/滋賀県文化振興事業団をご覧ください。

皆さまのご参加、お待ちしています!

芸術文化祭ポスター  


Posted by 滋賀県文化振興事業団 at 16:18Comments(0)滋賀県芸術文化祭

第16回わらげん寄席、大盛況でした!

2012年06月18日

6月15日(金)に旧大津公会堂にて行われた、第16回わらげん寄席!


(開演前の準備中の写真です!)

当日券は予想以上の売れ行き!大盛況でした。

受付に並べていた「湖国と文化」もいつも以上の売れ行きで、

前から欲しいと思っていたが、買う機会がなかった・・・、というお客様もおられました。

ありがとうございました!

恒例の出店は、今回は3店舗のみとなりましたが、

どのお店もお客様でいっぱいに。



丸二果実店のメロンジュースとフルーツサンドをいただきました。


(写真を撮るのを忘れ、夢中で飲んでしまい、ほとんど残っていません)

フルーツサンドは、すぐに売り切れてしまいました。

メロンジュースは果肉がたっぷりで、凍ったメロンが少し残っている状態で

大変おいしかったです。


受付当番をしていたので、肝心の落語は聴けなかったのですが、

お客様の大きな笑い声が何度も聞こえてきました!



当日に発表される演目は、九雀さんに書いていただいています。


次回は、9月21日(金)の予定です。お楽しみに!




わらげん寄席/滋賀県文化振興事業団  


Posted by 滋賀県文化振興事業団 at 17:26Comments(0)わらげん寄席